魅惑のターゲット! アカゼムロ(オアカムロ)とは?
南房の夏の味覚! アカゼムロとは?
美味でレア! アカゼムロは秘かな夏の釣りの好対象魚
2022年8月、館山・相浜港発の釣り船「安田丸」さんに乗船した日にアカゼムロというアジ類の魚がたくさん釣れました。
今回はそのアカゼムロに関するレポート記事です。
8月の南房・布良瀬での船釣り。
関東では比較的珍しい魚だけど、房総ではこの時期に釣れることがある。
その名はアカゼムロ。
日本文芸社発行の「釣魚図鑑」(豊田直之 著)によると、正式名称はオアカムロ(尾赤室)と記載されている。
なお、別名(地方名)として、アカムロ、オアカアジとの表記もある。
スズキ目アジ科の魚で、マアジに比べると体形は円筒型で細長い。
名前の通り、尾ビレや胸ビレなどに赤い色味を帯びているのが特徴で、とくに尾びれが赤いので釣り上げるとすぐに一般のムロアジとの違いが分かる。
群れで回遊しているらしく、釣れ始めるとたくさんハリに掛かるようになってくる。
引きはなかなか強く、釣りの対象としてもかなりのおもしろさがある。
最大で45センチほどになる個体もあるとのこと(当日釣れたのは35センチ前後のものが多かった)。
通常は南日本に分布している魚なので、関東では夏の時期に釣れることがある。
安田丸の船長のお話では、「ウチのお客さんの中では、シマアジより美味いという人もいますよ」とのこと。
シマアジより美味い?・・・それは楽しみ。
早速、自宅に持ち帰ってアカゼムロをいただいてみた。
(なお、先に引用した「釣魚図鑑」によると、この魚は「知る人ぞ知る、超美味な魚」という記載もあった)
なるほど! たしかに食味はピカイチ!
アジ類なので、どのように食べても美味いのだろうとは思っていたが、今回は全部で20匹釣れたため、欲張っていろいろな調理方法を試してみる。
まずは、刺身。
これで1匹分。
食べてみると、脂がしっかりとのっている。
しかも、その脂が甘い。
この、ほんのりとした甘みはなかなか他の魚にはない独特の甘み。
そして、新鮮だから身に弾力があって、歯ごたえもいい。
これは確かに美味い!
ちなみに、アカゼムロの刺し身をつまみながら、キンキンに冷えたビールを飲んだので、それはそれは至福の時間になった。
なお、体の色が赤いことがその名前の由来なのだけど、じつは身も一般のアジ類よりも赤い。
さらに、この日に釣れたシマアジやイサキなどよりも皮を剝がしやすかったのも印象的だった。
続いて、フライでもいただく。
サクッとしたコロモの中に、フワッとした甘みのあるアカゼムロの身。
新鮮だからこその、絶品フライ!!
ただの魚のフライなのに、豪華な食事になってしまう。
そして、ムロアジの一種なので干物もうまいだろうと思って自分で作ってみる。
魚本来の味をできるだけ楽しみたいので、塩分は控えめにした水に漬けて、自宅のベランダで干す。
ごちそうを目ざとく見つけたカラスたちが、うるさくてたまらない。
何度もカラスを追い払って完成。
早速これを焼いていただく。
うーん、うまい!
ホロッとした身。
噛むとジュワーっと魚のうまみが口に広がる。
新鮮なアカゼムロを干物にしているのだから、うまいのは当然かもしれないけど、この干物とご飯だけで豪勢な朝食になってしまう。
その他、タタキにしても食べたし、さらには醤油とダシを少々入れたタレに漬けた切り身をご飯に載せて、アカゼムロの漬け丼にしても食べた。
安田丸の船長のお話の通り、アカゼムロはどのようにして食べても大変美味い魚だった。
期間が限られているとはいえ、この魚が「外道」として釣れるとは・・・
房総の海は、その美しさだけでなく、釣りの魅力も満載。
自分で釣り上げた新鮮でウマい魚を食べながら、しみじみと思う。